小々説(1)

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Jan 14, 2019 20:55
日本に引っ越して半年が過ぎました。最近は日本語のレッスンで小説を読むことになってフィクションを書くことにも挑戦しました。推敲中なので、文法だけではなく、リズム感も含めて添削やアドバイスをいただければ幸いです。

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冬に春が訪れる (1)

僕は思わずうなずいた。
彼女の愛くるしい笑顔に対して、うなずくことしか出来なかった。
「もっと冒険しようよ」と言いたそうに、その目はあの日に松の頂に張った初氷のようにキラキラした。

僕たちが歩いていた森の中の細道は、百年前に街と工場を繋げた狭軌廃線だった。工場が潰れてから百年の間、自然はかつて開拓された地を取り戻し、花たちが生い茂っていた。百年前に電車が通った線路は、今となってみると、ちょうど二人が並んで歩ける森の細道になりつつある。

彼女は僕の一歩前、線路の左の一本の上に立って歩いていた。一緒に歩いている時、彼女はいつも僕の左だった。僕が間違って左を歩いたらすぐに、「左でいい?」と聞いて返事を待たずに左へ移った。あの頃は、少し不思議に感じたが 、理由にはさして興味をひかれなかった。あとでわかったことだが、それは左耳が聞こえにくいだけだった。

前日の夜までは冬にしては季節外れに暖かかったけれど、あの日の朝に目が覚めたら、僕は窓が一面の氷で覆われたのを見た。 木枯らしに散らされた落葉は前日の急な寒さで固く凍て付いた。携帯に一つのメッセージが届いた。「ちょっと寒いから、マフラー忘れないでね」と書いてあった。