雨物語 Chapter 1

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May 18, 2009 13:30 お話
彼は彼女を愛している。
彼女は雨が大好き。
だから、彼は彼女のためにだけ雨を作ってあげた。

そして、あの日から彼女に雨が降ってくる。
柔らかいグレーカーテンのように空からザーザーと降っている。
バラバラと屋根を打つ雨の音は、彼女にとっては素敵な音である。
クラシックの音楽のように安心できる音である。

この雨はどこから来るのはわかっているから、彼女は窓のそばに立ったり、窓のガラスを触ったり、指がゆっくりで流れて雨のしずくを触ったり、
心をこめて「あめ~」と囁いている。

彼女は彼の愛情に恵まれることを分かって、「雨になってるまで、彼が私のことにとても好きだね~」と考えて喜んで。決して雨は彼女には離れてない。彼女はどこに行っても、どこに来ても、雨がずっとついていく。

ある時、仕事から帰ってきた彼女は、途中で車に降りて、服がぬれるのもかまわず空を見上げながら、踊りように体がグルグル旋回している。
体にぬらせている雨水、彼女にとっては、彼のハグのように感じているので、嬉しくて我を忘れた。

「愛は不思議だね...」と考えている。
恋人はあまり会わなくても、あまりキスしてなくてもかまわない。
きっと、2人はいつも2人のことを考えて合って、恋しくて合って、こういう気持ちは微量の空で震えて、同じ目的に流れて行くのよう。
大阪、ジャカルタ、京都、東京...

この雨は季節を問わず、彼女の周りだけは、毎日ずっと降っている。
夜も、夕方も、朝も、昼も降っている。
彼女が出かけたら雨もついて行く。彼女はどこに行っても嬉しげな顔でする。

つづく。