白煙の女

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Jun 11, 2018 12:55
白煙の女

 博物館でフランスの印象派が描いた絵を閲覧しに歩き回りながら、思わずに女の人を追い初めてしまったことに気が付いた。あるいは、誰が誰を追い掛けるのか、まぎれもないではなかった。

 ともかく、歩調を遅くしようとしたが、まだ女はいたのを感じた。気が散ったせいで、危うく絵を集中できなった。また、女の姿しか盗み見ないところだった。こんな風に、白い花柄の上着、黒いスカートを着ている女の子と、絵の踊りをし続けた。

 「素晴らしいね、絵の色なんか」と声をかけることとか、いろいろな言いたいものなんて言おうとしたが、勇敢を振り絞れるどころではなかった。

 ようやく何か言おうとしたとたん、突然女が消えてしまった。

 手前に巨大な絵画が現れた。一見したところ桜だらけの景色だったが、白煙が、人で混んでいる賑やかな街を巻いているのだった。いかにも何時も淡い白煙に行ったり来たりの人を立ち見ていたのか、分からないほど遠い時間だったかもしれない。それなのに、白煙の帳の中に、見えないぐらい桜の柄がなんとなく立ち現れてきた。落っこちる瞬間に停止していた花の姿は、葉が絵画に抑えてあるように前景にあった。ハッと、風に乗っているように花が動き以上、白煙の中に花柄だらけの女の横顔が現れてきたことに気を膨らませた。